いまのままでよい、このまま生きよ!
朝日新聞土曜日Be版「悩みのるつぼ」相談コーナー。回答者は社会学者の上野千鶴子さん。
相談内容。70代女性、数年前に夫を癌で亡くす。亡くなる間際夫からお前(相談者のこと)の病気のために自分の人生は台無しだった、恨みつらみを持っている。苦労させられた私が先に死に、原因をつくったお前は生きながらえる(到底納得できない)。その意味でおまえは「人殺しだ」と言われ今も耳から離れず穏やかでいられない、どう生きたらよいのか、との相談内容。
今年も梅雨が明け猛暑の夏となった。家のなか朝のうちは西向き北向きの涼しいところで新聞を読む。窓から見える外の暑さが手に取るようにわかる、朝の九時前。うだる暑さの中を今日も田のあぜ草刈りに一日出ようと思う、汗を滝のごとく流し夕方まで草刈り。70歳近くなっても過酷な重労働の農作業ができる丈夫な体に生んでくれた両親に感謝だ。
そんなことからツラツラ想うに相談の回答は(私として)次のようだ。
今のままで良いではないか、亡くなったご主人の分までもあなたが生きることで埋め合わせることができます。
あなたが20年のあいだ精神的な病気で苦しんだこと、ご主人が希少な癌にかかり闘病で苦しんだこと、ふたつは同じことです。
神が決めたことで個人の人間の思うようになりません。病気で苦しみましたがそれで今の命を授かっています。今の命がご主人や家族の協力と犠牲の上に成り立っていることも間違いではありません。そのことを自覚すればおのずとあなたの生き方は見えてくるはずです。
感謝し残りの人生を有意義に生きていくこと以外にご主人やご家族への恩返しができるでしょうか。今のままで良いのです残された人生を感謝のこころをもってしっかりと生き抜くこと、それがご主人への供養になり家族へのご恩のあかしとなるのです。